あなたにもできる!QOL重視の看護ケアを実践するために必要な3要素

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あなたにもできる!QOL重視の看護ケアを実践するために必要な3要素

「患者さんのQOL(Quality Of Life)を考えて看護ケアをしなさい」なんて、看護学生時代に先生に言われた方も多いのではないでしょうか?

しかしながら、どのように考えて、どのような看護ケアをすれば、患者さんのQOLが向上するのかを明確に答えられる人はそんなに多くはありません。

筆者は、総合病院、老人保健施設、訪問看護など、様々な病期の方と関わってきました。

QOLについて色々な角度から日々考える中で、一つの結論に至りました。それは、一般的に重要視される健康関連QOLだけではなく、健康に関連しないQOLや患者さんの生きがいや人生の幸福感といった部分を考慮して、看護ケアを立案することが非常に大事だということです。 

QOLを重視した看護ケアのために特に必要なことを、経験則ではありますが以下に3つ挙げて説明していきます。

  • 患者さんの話を聴く
  • 患者さんがなるべく自分でできる形にしてあげる
  • 患者さんの価値観を知る

この記事が、皆様のQOLを重視した看護ケアを実践するための一助となることを願っております。

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1 QOLを重視した看護ケアのために必要な3つの要素

患者さんのQOLを健康関連QOLとして捉えることは、医療者としてとても大事なことです。

健康関連QOLで測定されている項目としては、移動能力などのADLに関連することや、痛み、心の健康面など精神的な部分にフォーカスが当たっており、看護ケアを考えるヒントになります。

しかしながら、QOLというのは非常に幅が広く、健康関連QOLはその一部でしかありません。健康に関連しないQOLや患者さんの生きがいや人生の幸福感といった部分は、看護ケアを立案する上では非常に大事な要素です。 

それらを踏まえ、QOLを重視した看護ケアのために必要なことを、経験則ではありますが以下に3つ挙げて説明していきます。

  • 患者さんの話を聴く
  • 患者さんがなるべく自分でできる形にしてあげる
  • 患者さんの価値観を知る

1-1 患者さんの話を聴く

看護ケアとしてできることは、傾聴することが第一に挙げられます。

不安や痛みというのは、先の健康関連QOLにおいて重要な要素でした。患者さんは様々な不安や痛みを抱えています。患者さんの訴えを傾聴することで精神的な安定を得られることは経験的にも多くあります。

話を聴くことによって、ラポールを築くことにも繋がり、2-3で紹介しますが、価値観を知ることにも繋がります。まず最初は、患者さんの話を聴くということから始めましょう。

1-2 患者さんがなるべく自分でできる形にしてあげること

患者さんが何もできない場合、なんでもやってあげてしまうことはよくあります。しかしながら、必ずしもそれが患者さんのQOLを重視した看護ケアにはなっていない場合があります。

健康関連QOLの評価項目にもありましたが、ADLは重要な要素ですので、リハビリテーションの概念を取り入れた看護ケアが重要になります。まずは、できるような環境を作ってあげることや、可能となるような介助を行っていくのが大事です。


  • ご高齢である患者さんが自分で食事が取れるように、テーブルのセッティングや補助具を用意してあげる
  • オムツ排泄の状態から、なるべくトイレでの排泄を介助で行っていく
  • ベッドでの寝たきり状態からなるべく車椅子へ離床させていく

これらは、必ずしも全ての患者さんに対してできる訳ではありませんが、目の前の患者さんに対して、こうしたらできるようになるんじゃないか、という視点を持ちながらケアを行うことが重要です。

1-3 患者さんの価値観を知る

患者さんの価値観を知った上で看護ケアを考えることはQOLにとって大事です。価値観とは端的に言うと「大事にしているもの」です。

生きがいや人生の幸福感といったものは、その人の価値観の中でしか良し悪しがわかりません。時として、医療者としてはその通りできないことも多々あり、妥協点を探りながら試行錯誤行っていくケースもあるかと思います。

100%他人の価値観を理解することはできませんが、患者さんの価値観を大事にするためにヒントとなるものを以下に事例を交えながら説明していきます。

1-3-1 自分の価値観で判断しない

自分の価値観で判断してはいけません。そんなこと言われるまでもないと思われるかもしれませんが、意外とできないものです。

【例】
在宅の現場で、50歳代のALS(筋萎縮性側索硬化症)で寝たきりの方に訪問看護で介入していました。私は、いつもベッド上のままでは辛いだろう、たまには外にも出たいのだろうと思い、屋外で出られるように車椅子の準備やリフト導入など検討していましたが、その方の反応はいまいち。結果的には、屋外へ行くことはありませんでした。

上記例では、相手を思いやっていた行動が価値観の押し付けに繋がってしまいました。人の価値観は多種多様です。まずは、固定観念を捨てて、患者さんの本当のニーズを把握していく必要があります

1-3-2 相手のバックグラウンドから理解する

患者さんの価値観を知るためには、患者さんのバックグラウンドから理解することが大事です。価値観というもの生まれ持ってというよりは、その人が生きてきた環境や人生経験の中などで作られていくものです。

例えば、ペットとずっと一緒に住んできた一人暮らしの方であれば、自分ことよりも愛するペットのことを優先的に行いたいと思うかもしれませんし、毎年の旅行が人生の生きがいである人にとっては病気を押してでもなんとか行きたいと思うかもしれません。

私は患者さんと接する時には、病気のことや体調面だけでなく、必ずその方の職歴や出生、家族や趣味、好きなこと、嫌いなことなどはコミュニケーションを取りながら把握するようにしています。そのような情報はきっとQOLを向上させるヒントになるでしょう。

1-3-2 関係性が作れたら率直にニーズを聞くことも必要

直接、コミュニケーションの中から、価値観や求めていることを聞くことも大事です。

必ずしも率直に本音を話して頂けない方も中にはいますので、関係性を作りながら本人の望んでいることや、どんなことがQOLを向上させるのかを聞いていくようにしましょう。


2 QOLについての最低限の知識も知っておこう

QOLは「生活の質」などと訳されることが多く、私達が生きる上での満足度を表す指標のひとつです。QOLを重視した看護ケアを考える上で、QOLについての最低限の知識は必要になります。

ここではQOLの概念と定義、保健医療分野におけるQOLについて説明します。

2-1 QOLの概念や定義

1947年のWHO健康憲章に「単に疾病がないということではなく、身体的にも精神的にも社会的にも完全に満足のいく状態にあること」と健康の概念が示されており、医療分野におけるQOLの概念に相当するものとして多々用いられています。

更に1995年にWHOはQOLの定義を「一個人が生活する文化や価値観のなかで,目標や期待,基準,関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」と示し、QOLを身体的領域、心理的領域、自立のレベル、社会的関係、環境、精神性/宗教的/信念の6つの領域に分けて評価しています。

これらを踏まえるとQOLというものは、あくまでも本人にとっての主観であるため、その概念や定義というものが、幅広く極めて抽象的であることがわかります。

2-2 保健医療分野におけるQOLの概念と定義

医学的領域で扱われるQOLは身体的な側面に着目され,医療の効果を測定する目的で健康を客観的または主観的尺度により測定し,“健康関連QOL”として独自に扱われています。

健康関連QOLとは、「疾患や治療が,患者さんの主観的健康感(メンタルへルス、活力、痛み、など)や,毎日行っている仕事,家事,社会活動にどのようなインパクトを与えているか、これを定量化したもの」です。

健康関連QOLの概念図を示します。

QOL概念図
※引用元:臨床のためのQOL評価ハンドブック


3 QOLを重視した看護ケアを考えた場合の在宅と病院の違い

患者さんのQOLを考えた場合、在宅と病院など環境により看護ケアも違ってきます。

あくまでも、QOLは個々人の価値観やその状況によりけりですが、病院よりも在宅療養を望んでいる人の方が多いこともあり、在宅の方が患者さんのQOLが高いと感じるケースは多いです。以下にそれぞれのケースを説明していきます。

3-1 在宅の方が良いケース

経験的にも、在宅で療養を行うことが患者さんのQOLが高いと感じることは多いです。

病院では、医療安全が求められるために患者さんへの制限事項が増えますが、在宅では、そのような制限を医療者側が強制することは寧ろ出来ません。

病院では安全のために患者さんに拘束を強いなければならないケースが多く、慣れない環境からストレスを感じることは多いでしょう。そのような状況で患者さんのQOLの向上させる努力はできますが、限界もあります。

在宅での訪問看護は1回あたり最低30分は時間を取ることができますので、病院での看護ケアよりも患者さんとコミュニケーションを取る機会は増えます。

患者さんの生活空間に入ることで、その人のバックグラウンドや価値観を知れることにもなり、QOLを重視した看護ケアを行いやすい環境と言えるでしょう。

3-2 病院の方が良いケース

患者さんを取り巻く環境が劣悪であったりする場合は、病院での療養の方が患者さんのQOLにとって良いと感じるケースは経験的にもあります。

病院の場合、少なくとも食事や衛生面などの基本的な生活は保障されます。そのような基本的な生活水準が病院と比べて在宅で著しく低い場合は、体調や身体機能面が改善し、QOLの向上に繋がるケースはあります。病院の方が何かあった時にすぐ対応してもらえて安心感が得られるというのも、人によってはQOLを向上させる大事な要素になります。

QOLを重視した看護ケアを行うのに、全ての人が在宅の方が適していると訳ではないことは、様々なケースを通して理解することができるでしょう。


4 まとめ

QOLを重視した看護ケアについて、私のこれまでの経験から特に必要と考える要素を3つ挙げて説明してきました。

在宅にいるとしても、病院にいるとしても、この記事を読んだ方が、『患者さんの話を聴く』『患者さんがなるべく自分でできる形にしてあげる』『患者さんの価値観を知る』の3つを常に意識して、その患者さんのQOLにとって最適な看護ケアとは何かの答えが導き出せるようになれば幸いです。

 

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