フォーカスチャーティングの記録を最もシンプルにまとめた説明文書

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フォーカスチャーティングの記録を最もシンプルにまとめた説明文書

フォーカスチャーティングとは患者さんに起きた「出来事」を焦点に当てた記録になります。得られた情報を医療過程に沿って系統的に記載していきます。

フォーカスチャーティングでの記載は出来事に焦点を当てているため、患者さんの状態をパっとみで捉えやすく、医療従事者同士で情報共有をしやすいというメリットがあります。

患者さんの心配事や関心事や、根拠に基づいた患者さんの徴候や症状や行動などをフォーカスして問題点を記載していきます。極論「F」だけ見れば、何が起きたのか、どんな問題が生じたかを理解できるように記載するのが理想です。

その上で、「主観的な表現はしない」「見たままを文章化」を意識して「フォーカスを支持する主観的、客観的な情報のデータ」、医療従事者がフォーカスを支持する実施したケア内容や指導したアクション、アクションを受けた患者さんの反応のレスポンスを記載していきます。

ダラダラと記載することは避けて、「これだけは絶対知ってほしいこと」「確実に次の勤務者に申し送る必要があること」を念頭に記載するようにしましょう。

この文章を読めばフォーカスチャーティングの記載がより一層理解が深まり、自宅に早く帰れるようになるでしょう。

採用情報

1 フォーカスチャーティングとは?「出来事」に焦点を当てた記録方法

フォーカスチャーティングとは患者さんに起きた「出来事」を焦点に当てた記録になります。得られた情報を医療過程に沿って系統的に記載していきます。フォーカスチャーティングでの記載は出来事に焦点を当てているため、患者さんの状態をパっとみで捉えやすく、医療従事者同士で情報共有をしやすいというメリットがあります。

・患者様の心配事や関心事

・根拠に基づいた患者様の徴候や症状や行動

・患者様の現在の状態や変化

・重要な出来事(病気やケガ)

・目標に向かっている経過や看護

主に上記のような点にフォーカスを当てて記録を記載していきます。患者さん中心の記録であり、患者さんの状態や変化によっては、日、時間の欄を正確に記載することで経時記録として使用することもできます。患者さんやご家族に説明する際に使いやすいなどの点から、現在ではフォーカスチャーティングを採用している病院も増えてきています。

フォーカスチャーティングは出来事に焦点を当てているため、問題となる出来事を理解していないと間違いやズレが生じてしまう要因になります。この記事でしっかり勉強して、問題点の明確化をできるようにしましょう。


2 フォーカスチャーティングを記載例で紹介

フォーカスチャーティングの方法を、まずはよくある事例として紹介します。普段の業務で起こりやすい例としています。まずはこちらでイメージしてみて下さい。

2-1 よくある血圧上昇はシンプルにまとめよう

どうしても慣れないと多くの情報を入れてしまい混在してしまいます。見た目はシンプルかもしれませんが、フォーカスチャーティングの最大の特徴は「出来事」に焦点を当てて記載することになります。問題の出来事がどうなったかをDARで記載することが大事になります。

12月2日14:00

F:血圧上昇

D:血圧180/108、脈80、体温36.4度「気分は悪くないです」

A:異常時指示の降圧薬〇〇を14時に内服してもらう

12月2日15:15

F:血圧正常値

R:血圧116/68「吐き気などはありません」

2-2 どの病棟でも起こりうる発熱の場合

ここでよくある発熱の例を見てみましょう。

<例>11時25分「なんだか寒気がしてきた」とナースコールあり。訪室すると、ガタガタと震えているように見える。触ると熱感はそこまではないが、バイタル測定をすると、体温38.2℃、脈拍88、血圧104/62、SPO2:96%。
水分は摂れているよう。症状は「とにかく寒気がして気持ちが悪い」と本人。異常時指示の座薬を実施。クーリングは希望せず、むしろ寒いとのことで電気毛布使用。12時05分再検。体温37.2℃、脈拍80、血圧102/60、SPO2:98%「少し楽になってきました」と笑顔を見せる。

12月9日11:25

F:発熱

D:体温38.2℃、脈拍88、血圧104/62、SPO2:96%「とにかく寒気がして気持ちが悪い」

A:異常時指示の座薬を実施。クーリングは希望せず、むしろ寒いとのことで電気毛布使用。

12月9日12:05

F:解熱

R:体温37.2℃、脈拍80、血圧102/60、SPO2:98%「少し楽になってきました」

ここで重要なのはやはり、「ガタガタ震えているように見える」「触ると熱感はそこまでない」という主観を省いていることになります。どうしても自分が実施したり、予測したことを記載したくなりますが、そこは「主観的な表現はしない」「見たままを文章化」を徹底します

また判断は難しいですが、最後に笑顔を見せるなどのフォーカスは解熱には関係のないことなので省くようにしましょう。極力シンプルに記載することを心がけるようにしましょう。


3 フォーカスチャーティングはとにかく「F」で何に焦点を当てるかが最も重要!

フォーカスチャーティングを記載する上で最も重要になるのは「F」です。何をフォーカス=焦点にしたのかが重要になります。なぜならフォーカスチャーティングにおいて、「F」だけ見れば、何が起きたのか、どんな問題が生じたかを理解させないといけないからです。

極論「F」だけを見てもらえれば申し送りができるようにしないといけません。

そして、そこを理解した上でDARを記載できるようにしましょう。

3-1 フォーカスチャーティングの一番の肝のF(フォーカス)

何度も言いますが、フォーカスチャーティングにおいて一番の肝は何にフォーカスを当てたかです。例えばその日の勤務で、患者さんに生じた「血圧上昇」「転倒」などの問題点にフォーカスを当てるようにしましょう。「日勤帯の様子」「バイタルサイン」などの象的なフォーカスはNGになります。

極論その日のフォーカスを説明するだけで申し送りができるのが理想です。フォーカスを見れば「誰でも」「瞬時に」「何を伝えたいか」がわかるように記載するようにしましょう。

フォーカスの欄には、その日に受け持った患者さんの最大のトピックスを厳選して挙げるようにしましょう。そして、もし何もなければ記載しないということも重要になります。また「主観的な表現はしない」「見たままを文章化」が記載する上では、大事になります。

3-2 フォーカスを支持する主観的、客観的な情報のD(データ)

フォーカスが「血圧上昇」であった場合のデータは「血圧180/108、脈80、体温36.4度、『気分は悪くないです』」などになります。

・フォーカスを支持する主観的・客観的な情報

・フォーカスを支持する諸検査データ

・患者さんやご家族様の言ったこと

・フォーカスを説明する情報

・フォーカスを支持する聞いたこた、見たこと、観察したこと

・フォーカスの裏づけ

データには主に上記6つを中心にフォーカスに必要なデータの記載を行います。ここもフォーカスと同様主観などは記載せず、だらだらと記載をせず、根拠となるデータの記載のみにするようにしましょう。

3-3 医療従事者がフォーカスを支持する実施したケア内容や指導したA(アクション)

血圧上昇のフォーカスとデータが元のアクションでは「異常時指示の降圧薬〇〇を14時に内服してもらう」としましょう。もし、この患者様が血圧情報の異常時指示がない場合には、「血圧上昇を主治医に報告。降圧薬〇〇の指示をもらい内服してもらう。吐き気や気分不快生じればナースコールで連絡をするように伝える」としましょう。

・医療従事者が実施したフォーカスを支持するケア内容

・医師やコメディカルスタッフの依頼で実施した内容

・一時的計画に沿って実施したこと(P/A)

・実践した一時的計画(A/P)

・看護計画との連動記載(P1‐1/A)

上記5つがアクションには必要になります。フォーカスとデータから「何を従事者として実施したのか」必要があればアセスメントなども記載をするようにしましょう。但し、フォーカスチャーティングの記載なので、ダラダラと書くことはせず簡潔明瞭に記載するように注意しましょう

3-4 アクションを受けた患者様の反応のR(レスポンス)

この記載においては「血圧上昇」のフォーカスに、降圧薬〇〇を飲ませているので、「15時15分再検、血圧116/68『吐き気などはありません』」となります。

・フォーカスを支持する患者さんの反応

・アクションに対しての患者さんの反応

・看護計画の評価

・一時的看護計画の評価

レスポンスには反応や結果等を記載するようにします。基本的にはフォーカス、データ、アクションに関係ある事柄を記載します。どうしても様々な患者さんの発言や詳しい状態を記載したくなってしまいますが、必要最小限にしましょう。

ここまでがフォーカスチャーティングの一連の流れになっています。基本的にはフォーカスを中心に必要な事柄だけを記載するようになります。


4 さいごに

フォーカスチャーティングは何度も言いますがとにかく「出来事」に焦点をあてて記載します。そして下記5つをポイントに考えるようにしましょう。

“POINT”

・患者さんの心配事や関心事

・根拠に基づいた患者さんの徴候や症状や行動

・患者様の現在の状態や変化

・重要な出来事(病気やケガ)

・目標に向かっている経過や看護

ダラダラと記載することは避けて、「これだけは絶対知ってほしいこと」「確実に次勤務者に申し送る必要があること」を念頭に記載するようにしましょう。例のように簡単にいく症状は少ないですが、基本の方は決まっています。皆さまがフォーカスチャーティングを理解して、1分でも早く勤務が終了することを願っています。

 

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