刑務所看護師とは?気になる仕事内容・給料・就くための条件を解説

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刑務所看護師とは?気になる仕事内容・給料・就くための条件を解説

病院勤務から別の医療機関への転職活動をしている中で、刑務所でも看護師の仕事があることを知った方もいるでしょう。

でも実際はどのような仕事をするのか、給料はどのくらいなのかなど、刑務所看護師に馴染みがないと分からないことが多いですよね。

刑務所看護師は法務省の職員である「法務技官」の一員であり、国家公務員です。そして、刑務所看護師と一言でいっても「一般刑務所勤務の看護師」と「医療刑務所勤務の看護師」の2種類の看護師が存在し、勤務先や携わる仕事内容が異なります。

一般刑務所勤務の看護師医療刑務所勤務の看護師
【勤務先】
全国各地の一般刑務所
【勤務先】
全国4か所の医療刑務所

【役割・仕事内容】
受刑者の看護
・体調不良やケガをした受刑者の処置
・受刑者の健康チェック
・カルテなどの書類整理や管理

【役割・仕事内容】
医師の補助や受刑者のケア・看護
・注射や採血、点滴、人口透析などの対応
・受刑者の健康チェック
・受刑者の各種検査の介助
・受刑者の店員手続きなどの事務作業

【対象者】
・一般受刑者
・突発的なケガや体調不良を引き起こした受刑者
【対象者】
身体上・精神上の疾患を持ち、専門的な治療が必要な受刑者

勤務先の刑務所によって仕事内容は異なりますが、国家公務員のため経営状態によって給与が変動する恐れのある病院とは異なり、安定的な収入を得られて長く働ける点がメリットです。一般刑務所勤務の場合は夜勤がなく、医療刑務所の場合は高度な医療を提供する場で看護師としてのスキルを磨くこともできます。

しかし刑務所看護師として働くと、次のようなデメリットもあることは念頭に置かなければなりません。

  • 失業手当をもらえない
  • 一般刑務所勤務では看護師としてのスキルアップがしにくい
  • 医療刑務所勤務の場合は夜勤がある

刑務所看護師に興味がある場合は、仕事内容やメリット・デメリット、そして適性を十分に理解し、転職先に刑務所を視野に入れるかを判断することが大切です。

ここでは刑務所看護師の仕事に興味がある人のために、以下の内容をまとめてご紹介します。

  • 刑務所看護師の仕事内容
  • 刑務所看護師の給与と待遇
  • 刑務所看護師として働くメリットとデメリット
  • 刑務所勤務と病院勤務の違い
  • 刑務所看護師に向いている人
  • 刑務所看護師への転職を検討するときの注意点
  • 刑務所看護師になる方法

この記事を読めば刑務所看護師の実態を理解でき、刑務所看護師を目指すかどうかを判断いただけるようになります。転職活動の情報として、ぜひ参考にしてください。

採用情報

目次

1. 刑務所看護師とは

刑務所看護師とは、国が管轄する刑務所に勤務する看護師のことです。冒頭でも説明した通り、専門的な知識や技術を持つ法務省の職員である「法務技官」として採用され、身分は国家公務員になります。

そんな刑務所勤務の看護師には、「一般刑務所勤務の看護師」と「医療刑務所勤務の看護師」の2種類が存在します。この2つの看護師の大きな違いは、勤務先の刑務所と仕事内容です。

一般刑務所勤務の看護師医療刑務所勤務の看護師
【勤務先】
全国各地の一般刑務所
【勤務先】
全国4か所の医療刑務所

【役割・仕事内容】
受刑者の看護
・体調不良やケガをした受刑者の処置
・受刑者の健康チェック
・カルテなどの書類整理や管理

【役割・仕事内容】
医師の補助や受刑者のケア・看護
・注射や採血、点滴、人口透析などの対応
・受刑者の健康チェック
・受刑者の各種検査の介助
・受刑者の店員手続きなどの事務作業

【対象者】
・一般受刑者
・突発的なケガや体調不良を引き起こした受刑者
【対象者】
身体上・精神上の疾患を持ち、専門的な治療が必要な受刑者

一般刑務所の看護師は、全国各地の一般刑務所(受刑者を収容する場所)に勤務する看護師のことです。仕事内容については「2. 刑務所看護師の役割・仕事内容」で詳しく説明しますが、一般刑務所の看護師は受刑者の看護を行う役割を担います。

医療刑務所勤務の看護師は、全国に4か所ある医療刑務所に勤務する看護師のことです。医療刑務所は専門的な治療や手術などを必要とする受刑者を収容する刑務所で、場所によって収容されている受刑者の特徴が異なります。

東日本成人矯正医療センター
(旧:八王子医療刑務所)

主に精神上の疾病または障害を持つ受刑者が収容されている

岡崎医療刑務所

北九州医療刑務所

大阪医療刑務所

主に身体上の疾病または障害を持つ受刑者が収容されている

医療刑務所勤務の看護師の仕事内容についても「2. 刑務所看護師の役割・仕事内容」で説明しますが、上記のいずれかの医療刑務所において、医師の補助や身体上・精神上の疾患を持ち、専門的な治療が必要とする受刑者のケア・看護をする役割があります。


2. 刑務所看護師の役割・仕事内容

「1. 刑務所看護師とは」でも触れましたが、刑務所看護師の役割と仕事内容は勤務先によって異なります。ここで、一般刑務所勤務の看護師と医療刑務所勤務の看護師の役割・仕事内容を詳しく見ていきましょう。

2-1. 一般刑務所勤務の看護師の役割・仕事内容

「1. 刑務所看護師とは」でも説明した通り、一般刑務所勤務の看護師が担う役割は受刑者の看護です。主な仕事内容は、次の通りです。

  • 体調不良やケガをした受刑者の処置
  • 受刑者の健康チェック
  • カルテなどの書類整理や管理

体調不良やケガを訴えた受刑者がいる場合は、医師による指示のもと症状に沿った看護をしたり、ケガの応急処置をしたりします。症状が深刻で刑務所内で対応できない場合は、外部の病院へ付き添うこともあります。

特にケガや体調不良を引き起こしていない受刑者の健康チェックも仕事の1つです。巡回して受刑者の日々の体調を確認したり、受刑者の健康状態を確認するための健康診断を実施したりします。受刑者の健康チェックでは、診療記録も行います。

受刑者の看護や健康チェックだけでなく、カルテといった医療情報の書類整理や管理といった事務作業も発生します。

一般刑務所勤務の看護師は、学校の保健室にいる保健師や企業の医務室における看護師の仕事と類似しているのが特徴です。

2-2. 医療刑務所勤務の看護師の役割・仕事内容

医療刑務所勤務の看護師の役割は、医師の補助と専門的な治療が必要とする受刑者のケア・看護です。主な仕事内容は次の通りです。

  • 注射や採血、点滴、人工透析などの対応
  • 受刑者の健康チェック
  • 受刑者の各種検査の介助
  • 受刑者の転院手続きなどの事務作業

注射や採血、点滴、人工透析といった幅広い医師の補助業務に携わります。一般病院での勤務経験があれば、対応できる業務内容です。

受刑者の健康チェックでは日頃の体調管理の他、精神看護に関わることもあります。医療刑務所には精神上の疾患を持つ受刑者が収容されているため、異常行動が見られたり、自殺企図を繰り返したりする受刑者の対応なども行います。

受刑者の疾患に沿った各種検査の介助にも関わります。たとえば、胃カメラやエコーといった一般病院で行われる検査が対象です。

収容されている受刑者が高度な医療施設を必要とする場合は、別の病院への転院手続きや準備といった事務作業も行います。

医療刑務所には疾患を持つ受刑者が収容されているため、病院と似たような機能を持ちます。医療刑務所の看護師の仕事内容は、病院勤務の看護師と大きな差はありません。ただ、精神上の疾患を持つ受刑者がいるため、精神科での勤務経験を含めた高い看護スキルがあると有利といえます。

2-3. 一般刑務所勤務と医療刑務所勤務の違い

ここで、一般刑務所勤務と医療刑務所勤務の看護師の違いをまとめます。

一般刑務所勤務の看護師【勤務先】
全国各地の一般刑務所

【仕事内容】
・体調不良を引き起こした受刑者の看護
・ケガをした受刑者の応急処置
・受刑者の日々の体調チェック
・受刑者の健康診断の実施
・カルテなどの書類整理や管理

⇨学校の保健室や企業の医務室における仕事に類似

医療刑務所勤務の看護師【勤務先】
全国4か所の医療刑務所

【仕事内容】
・注射や採血、点滴、人工透析などの対応
・受刑者の日頃の体調管理
・受刑者の精神看護
・胃カメラやエコーなど各所検査の介助
・受刑者の転院手続きなどの事務作業

⇨病院勤務の看護師の仕事に類似

一般刑務所は全国各地にあります。しかし、医療刑務所は全国に4か所しかないため、勤務先が限られます。

仕事内容に関しては、専門的な医療を提供する医療刑務所の看護師の方が携わる業務量は多いといえます。病院勤務の看護師の仕事に類似するため、幅広い業務に関わることになるでしょう。一般刑務所の看護師は学校の保健室や企業の医務室における仕事に類似するため、基本的な看護スキルがあれば対応できるといえます。

刑務所看護師の仕事は危険?

一般刑務所も医療刑務所も、犯罪を犯して刑が確定した人を収容している場所です。受刑者に接する看護業務は安全なのか、危険ではないのか気になりますよね。

刑務所看護師の仕事の安全性は確保されています。実際に受刑者を看護するときは、刑務官や法務教官の付き添いがあるからです。万が一問題が起きた場合は「国家公務員災害補償制度」の補償を受けられます。

受刑者の特徴が気になる場合は、法務省が公表している処遇指標(平成25年時点)を参考にすると良いでしょう。一般刑務所と医療刑務所にどのような受刑者が収容されているかが分かります。


3. 刑務所看護師の勤務体系

刑務所看護師の仕事内容や役割が分かったところで、次に気になってくるのが勤務体系ではないでしょうか?病院と同じように日勤と夜勤が交互に発生するのか、刑務所に勤務する看護師はどのくらいいるのかなどを知りたいところでしょう。

ここでは、刑務所における看護師の配置基準と日勤・夜勤について説明します。

3-1. 刑務所における看護師の配置基準

刑務所における看護師の配置基準は公表されていません。

ただ、刑務所における看護師の人数の実態が公表されたことはあります。2015年11月に参議院が公表した調査「矯正施設の医師の継続的かつ安定的な確保に向けて」によると、ほとんどの刑事施設では、看護師は1人または2人程度しか在籍していなかったようです。

最新の刑務所における看護師の実態も公表されていませんが、1つの刑務所に配置される看護師は少人数であることが予想されます。

3-2. 刑務所看護師の勤務時間・勤務日について

刑務所看護師の勤務時間と勤務日については、勤務先によって異なります。

一般刑務所勤務の看護師医療刑務所勤務の看護師
・日勤が基本
・土日祝日は休み
・カレンダー通りの休暇を取得できる場合が多い
・日勤と夜勤が発生する
・土日祝日に勤務が発生する場合がある

一般刑務所の場合は夜勤がなく、日勤が基本です。土日祝日は休みで、カレンダー通りの休暇を取得できることもあります。

医療刑務所は、病院と似たような機能を持つため日勤と夜勤があります。土日祝日にも勤務が発生することもあるでしょう。どのようなシフトで勤務するかは、勤務先の医療刑務所によって変わります。

一般刑務所はクリニック、医療刑務所は病院と似たような勤務時間になるとイメージすると良いでしょう。


4. 刑務所看護師の1日のスケジュール例

刑務所看護師は、普段どのように動いて業務をこなしているのでしょうか?ここで、一般刑務所勤務の看護師の1日のスケジュールを見てみましょう。

8時30分

出勤

9時

・ケガをした受刑者の処置や看護
・体調不良の受刑者の診察サポート

12時

昼食

13時

・体調不良の受刑者の診察サポート
・急患の受刑者の外部病院への付き添い
・受刑者の健康チェック

17時

退勤

その日の受刑者の状態や刑務所によって業務内容が変わるためこのスケジュール通りに進まないこともありますが、一般刑務所の場合はクリニックと同じような時間帯で勤務することになり、残業も基本的に発生しません。

医療刑務所勤務の場合は日勤と夜勤を交互に行い、夜勤は交代制で対応します。東日本成人矯正医療センターが出している看護師の求人によると、日勤は8時30分~17時勤務、夜勤は11時から翌8時30分の間で交代して勤務するようです。

参考:東日本成人矯正医療センター 看護師<国家公務員>求人|ハローワークインターネットサービス


5. 刑務所看護師の給料・待遇

刑務所看護師は国家公務員のため、経営状態によって金額が左右される病院といった他の医療機関の給料と比べると安定しているといえます。ここで、刑務所看護師の給料・待遇について詳しく見ていきましょう。

5-1. 刑務所看護師の給料

刑務所看護師の給料は、人事院規則九 – 二(俸給表の適用範囲)の「医療職俸給表(三)」で勤務年数に応じた金額が支払われます。以下は、経験年数ごとの平均給与額をまとめた表です。

経験年数階層

平均俸給額(円)

1年未満
1年以上 2年未満
2年以上 3年未満
3年以上 5円未満

233,546
227,746
229,709
235,140

5年以上 7年未満
7年以上 10年未満
10年以上 15年未満
15年以上 20年未満

256,844
265,351
280,978
306,733

20年以上 25年未満
25年以上 30年未満
30年以上 35年未満
35年以上

324,764
341,466
352,611
348,728

「平成31年国家公務員給与等実態調査(人事院給与局)」を元に作表

年収にすると、約300万円~420万円といえます。「平成30年賃金構造基本統計調査」によると看護師全体の平均年収は483万円のため、刑務所看護師の年収は平均と比べると低めですが、国家公務員のため安定的な収入を確保できるのは良い点といえるでしょう。

5-2. 刑務所看護師の待遇

刑務所看護師は国家公務員のため、高待遇です。東日本成人矯正医療センターの場合、以下のような待遇を設けています。

  • 地域手当:28,860円 〜 45,000円
  • 俸給調整額手当:28,200円 〜 28,200円
  • 通勤手当:実費支給(月額55,000円まで)
  • 加入保険:国家公務員災害補償制度
  • 再雇用制度:あり(上限65歳まで)
  • 各種休暇制度:育児休業、介護休業、看護休暇など

基本給にプラスされて、勤務地域の物価の差を埋めるための「地域手当」と特殊な業務に対して俸給額を調整する「俸給調整額手当」が定期的に支払われるなど、病院勤務にはない手当が支給されます。育児休業や介護休業といった各種休暇制度もあり、取得実績もあります。

手厚い待遇の中で看護師の仕事ができるのは、国家公務員である刑務所看護師ならではの魅力でしょう。

参考:東日本成人矯正医療センター 看護師<国家公務員>求人|ハローワークインターネットサービス


6. 刑務所の看護師として働くメリット3つ

刑務所看護師として働くメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?

一般刑務所勤務と医療刑務所勤務とで異なる点もありますが、主に次のようなメリットを得られるといえます。

・共通のメリット

  1. 安定的な収入と充実した待遇の中で働くことができる
  2. 患者とのコミュニケーションが苦手でも働きやすい

・一般刑務所の場合は夜勤がない

・医療刑務所は看護師としてのスキルを磨ける

1つずつ説明していきましょう。

6-1. 共通のメリット

一般刑務所勤務と医療刑務所勤務で共通するメリットは、次の2点です。

  1. 安定的な収入と充実した待遇の中で働くことができる
  2. 患者とのコミュニケーションが苦手でも働きやすい

6-1-1. 安定的な収入と充実した待遇の中で働くことができる

「4. 刑務所看護師の給料・待遇」でも説明した通り、刑務所看護師は国家公務員であり雇用が安定しています。勤務年数に応じて昇給し、給料が変動することもありません。

刑務所看護師は、勤務先が国が管轄する刑務所、そして看護の対象者が受刑者であるため、一般病院勤務の看護師の仕事と比べると特殊です。このため、地域手当や俸給調整額手当といった諸手当が充実しており、高待遇の中で働けるのです。

経済的に安心した生活を送ることができるのは、刑務所看護師の魅力でしょう。

6-1-2. 患者とのコミュニケーションが苦手でも働きやすい

病院や他の医療機関での看護師業務は、患者とのコミュニケーションが欠かせませんよね。しかし中には、患者さんとうまくコミュニケーションが取れないことで悩んでいる方もいるかもしれません。刑務所看護師は、そんな方でも働きやすい仕事といえます。

受刑者と看護師は、基本的に直接話すことはありません。受刑者の看護には刑務官が必ず付き添い、受刑者の健康状態など質問がある場合は付き添いの刑務所を介して聞くことができるのです。

刑務所では受刑者とコミュニケーションを取る必要がないため、病院や他の医療機関に求められるような患者との良好な関係作りを気にする必要がありません。看護業務だけに集中して取り組めます。

6-2. 一般刑務所の場合は夜勤がない

一般刑務所勤務ならではのメリットもあります。それは、夜勤がないことです。

「3. 刑務所看護師の1日のスケジュール例」でも説明した通り、勤務先の刑務所によって勤務時間が異なる場合もありますが、一般刑務所の勤務時間は8時~17時が目安です。

日勤と夜勤を繰り返す病院勤務とは異なり、日勤が基本ため生活のリズムが崩れることはなく、規則正しい生活を送れるでしょう。

6-3. 医療刑務所は看護師としてのスキルを磨ける

医療刑務所勤務のメリットは、看護師としてのスキルを磨ける点です。

病院や他の医療機関でも看護師としてのスキルは磨けます。しかし、刑務所では「矯正医療」という、刑務所や少年院といった矯正施設で施される特殊な医療に携わるため高度な知識を得られます。

【矯正医療の主な内容】

  • 受刑者が更生され、社会復帰できるような健康管理を行う
  • 受刑者が病気にかかることを防ぐための衛生管理を行う

一般の病院や他の医療機関とは異なる医療に関われるのは、看護師として大きく成長できるといえます。

また、医療刑務所には一般病院と同様、様々な診療科が設けられています。配属先でこれまで携わってきた診療科の知識や経験を活かし、さらに磨くことも可能です。未経験の診療科に配属されても、医療刑務所の看護師として働けば新たなスキルを習得できる機会に恵まれるでしょう。


7. 刑務所の看護師として働くデメリット3つ

刑務所の看護師として働くことには、デメリットもあります。

  1. 失業手当をもらえない
  2. 一般刑務所の場合は看護師としてのスキルアップがしにくい
  3. 医療刑務所の場合は夜勤がある

上記3つのデメリットについて、詳しく説明していきましょう。

7-1. 失業手当をもらえない

刑務所看護師の仕事を辞めた場合、失業手当はもらえません。公務員の場合、雇用保険法が適用されず、雇用保険に加入できないためです。

刑務所看護師になった後、民間の病院へ転職しようと考えるときには注意が必要です。民間の病院へ転職するときは、離職の期間が短くなるように行動することが大切になります。

7-2. 一般刑務所の場合は看護師としてのスキルアップがしにくい

医療刑務所の看護師は一般病院や他の医療機関とは異なる矯正医療に関われますが、一般刑務所における看護師の仕事に就いた場合は、看護師としてのスキルアップがしにくいです。

「1-1. 一般刑務所勤務の看護師とは?仕事内容・役割」でも説明した通り、一般刑務所の看護師の仕事は体調不良になった受刑者の看護や受刑者の健康チェック程度にとどまり、重症患者の看護やケアは行いません。必要最低限の看護業務に関わることになるため、基本的な看護スキルは活かせますが、新たな看護知識やスキルを習得できる機会は得にくいといえるでしょう。

収入や待遇のことを考えて刑務所での勤務を希望する場合は、医療刑務所の方が看護師としてのスキルアップしやすいといえます。

7-3. 医療刑務所の場合は夜勤がある

医療刑務所は、一般刑務所とは異なり日勤以外にも夜勤が発生します。一般病院と似たような機能を持ち、専門的な治療を必要とする受刑者が収容されているため、24時間体制で受刑者を看護・ケアしなければならないからです。

これまで日勤と夜勤を繰り返す病院勤務をしていた場合は違和感を覚えないかもしれませんが、日勤が基本だった医療機関で働いていた場合は、生活のリズムが崩れやすくなり不規則な生活を余儀なくされるでしょう。

夜勤を避けたいのであれば一般刑務所が適しています。一般刑務所では看護スキルを磨けないことにデメリットを感じるようであれば、日勤が基本で看護師としてスキルアップが可能なクリニックでの勤務を視野に入れることもできます。

看護師として無理なく働きながらスキルアップできる勤務先はあるため、色々な選択肢を検討すると良いでしょう。


8. 刑務所勤務の看護師と病院勤務の看護師の比較

ここで、刑務所勤務の看護師と病院勤務の看護師の違いを比較してみましょう。

刑務所勤務の
看護師
【身分】
国家公務員

【仕事内容】
<一般刑務所>
受刑者の看護と健康管理
*学校の保健室や企業の医務室業務と類似

<医療刑務所>
医師の補助と専門的な治療が必要な受刑者の看護・ケア
*病院業務と類似

【勤務体系】
・配置基準:不明
*現状では1刑務所につき看護師は1~2人の場合が多い
・一般刑務所は日勤が基本、医療刑務所は夜勤あり
*交代制

【給料・待遇】
・平均年収:約300万円~420万円
・勤務年数に応じて昇給、国家公務員ならではの手当(地域手当や俸給調整額手当など)が充実している

病院勤務の
看護師
【身分】
・国立病院や公的医療機関であれば公務員
・その他一般的な病院であれば民間人

【仕事内容】
医師の補助と患者さんの看護・ケア
・医師による診察前の問診
・バイタルサインの測定
・諸検査の説明と補助
・注射や採血、点滴の対応
・入院の患者さんのお世話とカルテの記録
・救急外来やナースコールの対応

【勤務体系】
・配置基準:患者さん3名に対して1人
・日勤と夜勤がある(二交代制もしくは三交代制)

【給料・待遇】
・平均年収:483万円
・夜勤手当や超過勤務手当などの諸手当、労働保険などは充実している

刑務所の看護師は国家公務員、病院の看護師は勤務先によっては公務員となりますが、一般的な病院であれば民間人になります。

業務内容については、医療刑務所勤務であれば病院と大きな差はありません。一般刑務所の場合は、病院勤務と比べると業務量は少ないといえるでしょう。

勤務体系も、医療刑務所勤務であれば病院と同じように日勤と夜勤があります。一般刑務所は日勤が基本です。配置基準は病院の方が明確といえますね。

給料・待遇については、刑務所勤務と病院勤務とではそれぞれに良いところがあるため、一概にどちらが優れているとはいえません。年収面では病院看護師の方が高いですが、安定性を考えると刑務所勤務の看護師の方が魅力があるといえます。待遇については、刑務所も病院も比較的充実しているでしょう。


9. 刑務所の看護師に向いている人

刑務所という特殊な場所で働く看護師は、次のような人が向いています。

  1. 病院での臨床経験が3年以上ある
  2. 看護業務だけに集中して携わりたい
  3. 看護師免許を活かして安定的に働きたい

順に説明していきましょう。

9-1. 病院での臨床経験が3年以上ある

病院での臨床経験が3年以上あると、刑務所の看護師として問題なく働けます。

一般刑務所の場合は、受刑者の看護や健康チェックといった最低限の看護スキルがあればこなせます。医療刑務所の場合は、専門的な治療を必要とする患者の看護とケアをするスキルが求められますが、病院で3年勤務していれば看護スキル全般を偏りなく習得できているため、即戦力となって対応できるでしょう。

病院で培った看護知識やスキルは、特殊な医療を提供する刑務所でも存分に活かされるはずです。

9-2. 看護業務だけに集中して携わりたい

刑務所看護師が受刑者を看護するときは刑務官や法務教官の立ち合いがあり、基本的には患者とコミュニケーションを取る必要はありません。必要な看護業務を淡々とこなし、看護業務だけに集中して携わりたい方にも向いています。

反対に「患者とコミュニケーションを取りながら看護し、患者が回復するのを見守ることがやりがい」と感じる方にとっては、刑務所の看護師には向かないでしょう。どんな受刑者に対しても冷静に看護できる人が良いといえます。

9-3. ワークライフバランスを保って安定的に働きたい

ワークライフバランスを保って、看護師として安定的に働きたい人も向いています。

「安定的に働くことは、他の公的医療機関でも実現可能なのでは?」と感じた方もいるかもしれませんね。しかし、一般病院のように夜勤が発生したり、土日祝日も出勤する可能性もあったりするため、プライベートの時間は確保しにくいといえます。

刑務所であれば、一般刑務所に限りますが基本は日勤のため、ワークライフバランスを保ちやすいです。国家公務員という立場で雇用も安定しているため、経済的に安定した中で看護師生活を送りたい人にとっては最適でしょう。


10. 刑務所の看護師への転職を検討するときの注意点2つ

安定した収入があり、勤務先によってはワークライフバランスを保ちながら看護師生活を送れたり、看護師としてスキルアップしながら働ける刑務所看護師ですが、実際に転職を考えるときに注意したいことがあります。

  1. 非公開の求人が多く件数も少ない
  2. 刑務所は交通の便が悪いところにあることが多い

順に説明していきましょう。

10-1. 非公開の求人が多く件数も少ない

刑務所看護師の求人は非公開が多い上、件数も少ないのが現状です。病院やクリニックといった医療機関と比べると、配置される看護師の数は少ないからです。

また、安定した収入と高待遇の国家公務員であるため離職率が低く、看護師の欠員が発生しにくいことも、求人数が少ない一因といえます。

求人はあっても、非公開となっているケースもあります。これは、刑務所看護師が国家公務員で待遇が良いため、応募する人が多数発生する可能性があるためです。

刑務所看護師の求人はハローワークで取り扱っている場合が多いため、刑務所への転職を検討する場合は、まずハローワークで求人を探してみることをおすすめします。

10-2. 刑務所は交通の便が悪い場所にあることが多い

一般的に刑務所は、交通の便が良くない場所にあります。駅から離れていて、車を使わないと行くことができない地域にある刑務所も存在します。

普段から車を運転している人にとっては、あまり苦にならないかもしれませんが、車を所有していない場合は不利となってしまいます。車を所有していても、通勤時間が長く発生する恐れもあるため不便に感じるかもしれません。

刑務所で働くことになったら、通勤面でデメリットがあることは念頭に置きたいところです。


11. 刑務所の看護師になるには?

最後に刑務所の看護師になる方法を説明します。

ここまで紹介してきた刑務所看護師の仕事内容やメリット・デメリット、適性などを踏まえて、刑務所看護師に魅力を感じた方は転職活動をするときの参考にしてください。

11-1. 刑務所看護師の条件

刑務所看護師は、各刑務所の求人情報に記載されている応募条件を満たしていればなれます。一般刑務所の看護師と医療刑務所の看護師の応募条件の例を見てみましょう。

一般刑務所勤務の看護師

医療刑務所勤務の看護師

<松江刑務所の場合>

・年齢制限:59歳まで
・学歴:不問
・必要な経験:あれば尚可。経験を有する方が望ましい
・必要な免許・資格:看護師(必須)

<東日本成人矯正医療センターの場合>

・年齢制限:18歳~59歳
・学歴:不問
・必要な経験:不問
・必要な免許・資格:看護師(必須)

※参考:松江刑務所 法務技官(看護師)求人|ハローワークインターネットサービス
※参考:東日本成人矯正医療センター 看護師<国家公務員>求人|ハローワークインターネットサービス

刑務所看護師への求人は、基本的には年齢が定年の59歳までで、看護師免許を所有していれば応募できます。

求められる経験については刑務所によって異なります。経験がなくても良い場合もあれば、あれば有利となる場合もあるようです。ただ、「8. 刑務所の看護師に向いている人」でも説明した通り、病院での臨床経験が3年以上あれば基本的な看護スキルは十分に備わっているとみなされるため採用試験で有利となるでしょう。

11-2. 刑務所看護師の採用試験

刑務所看護師の採用試験は、一般刑務所も医療刑務所も同じ内容がほとんどです。書類選考と筆記試験、面接(1回)は共通して行われます。筆記試験の詳しい内容は公表されていません。求人に応募する場合は、問い合わせすることをおすすめします。

選考結果通知のタイミングは、刑務所によって異なります。目安としては、書類選考結果は書類到着後14日~20日以内、面接選考結果は7日~14日以内に通知されるようです。


まとめ

法務省の職員である「法務技官」の一員であり、国家公務員です。そして、「一般刑務所勤務の看護師」「医療刑務所勤務の看護師」の2種類の看護師が存在し、給料や待遇に関しては共通していますが、役割と仕事内容は異なります。

一般刑務所勤務の看護師も医療刑務所勤務の看護師も、

・安定的な収入を得られ、高待遇の中で働ける

・看護業務のみに関われば良いため、患者とのコミュニケーションが苦手でも働きやすい

といったメリットがありますが、一般刑務所勤務は夜勤がなく、医療刑務所勤務の場合は看護師スキルを磨けることも魅力です。

ただ、国家公務員という身分である故、退職したときに失業保険を受けられないのがデメリットです。一般刑務所勤務では看護師としてスキルアップしにくく、医療刑務所勤務の場合は夜勤があってワークライフバランスを保ちにくいところも理解しておきたいところです。

求人が非公開で件数が少なく、チャンスがあまり多くありませんが、刑務所看護師は病院での臨床経験が3年以上ある人や看護業務だけに集中して携わりたい人に向いています。経済的に安定した中で看護師生活を送りたい人にも最適でしょう。

この記事が刑務所看護師に興味がある方、刑務所看護師への転職を視野に入れている方の参考になれば幸いです。

 

訪問看護をやってみたい。やりたい看護がある。そう思う人こそリカバリーに来てほしい。

「自分の大切な人を看るように、利用者様やご家族と関わる」

訪問看護ステーション リカバリーは、創業からこの思いを持ち、
利用者様やご家族にとって「もうひとりの温かい家族」のような存在として、
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