ターミナルケアとは?身体的・精神的・社会的ケアで生活の質を向上

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ターミナルケアとは?身体的・精神的・社会的ケアで生活の質を向上

ターミナルケアと聞くと終末期医療や緩和ケアと混在してしまいませんか?

一言で伝えると「本人が治療をやめる決断をし病気の症状などによる苦痛や不快感を緩和し、精神的な平穏や充実した生活を目指すケア」が意味となります。

特に重要なのが「身体的ケア」「精神的ケア」「社会的ケア」を行うことで、その人らしい最期を迎えるために対応が必要になります。看護師としては意思決定支援、疼痛コントロールが重要になるため、この2つを必ず抑えておくようにしましょう!

そしてターミナルケアは迎える場所でも大きく異なるので、その特徴を理解して、患者さんの望むケアを意識して対応するのが重要になります。看護計画に悩むあなたへの効果的な解決策もありますので、是非記事を読んで今までの悩みを解消してください。

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1 ターミナルケアとは?

ターミナルケアとは、「本人が治療をやめる決断をし病気の症状などによる苦痛や不快感を緩和し、精神的な平穏や充実した生活を目指すケア」になります。苦痛を緩和しながら、できるだけ生活の質を保つために患者さんの希望を尊重してケアをすることをいいます。一般的な入院治療とは異なり、積極的な治療を行いません。患者さんのQOLを高めその人らしく過ごすことを目的にしています。ターミナルケアの開始時期は明確な決まりは定まってはいませんが、病気の回復が見込めなくなったり、積極的な治療ができないと判断されたときがひとつのきっかけになります。

ターミナルケアでは、3つのケアに分類されます。

・身体的ケア:身体の痛みなどを取り除く

・精神的ケア:患者さんの死に対する恐怖、不安を取り除く

・社会的ケア:費用や家族を含めた周囲への負担を重荷と感じさせないようにサポートする

1-1 身体的ケア

病気の種類を問わず、終末期を迎えると痛みが強くなることが多く、このために患者が夜眠れなくなる、あるいは身体が動かせなくなるということも少なくありません。精神面にも大きく影響するため、投薬やポジショニングなどで、痛みを取り除くことが身体的ケアでは行われます。また、食事や水分がとれなくなった際、食べやすいように料理を細かくすりつぶして食べやすくしたり、経管栄養や胃瘻による栄養補給を行うことも含まれます。排泄や入浴、清拭などの実施で、日常生活における身体上のストレスを感じさせないことが重要にもなります。看護師として様々な援助が必要なのが身体的ケアになります。

1-2 精神的ケア

ターミナル期の患者さんは、死に対する恐怖や不安、そして自分が亡くなった後の家族に対する心配などにより、精神面のバランスを崩しやすくなります。そのため、誠意をもって寄り添い、安心して最期のときを迎えられるようにサポートするケアが必要です。患者さんの想いに寄り添い、孤独感を持つことのないように配慮をすることが必要です。看護師として、患者さんの想いを傾聴し、家族や友人との過ごす時間を提供したり、ベット周囲の環境整備で精神的ケアが必要になります。

1-3 社会的ケア

ターミナルケアを受けることで経済的負担が発生してしまい、そのことが患者さんの精神的な重荷となることも少なくありません。特に、家庭で家計を担っていた人は、「家族に負担をかけている」との思いにかられやすくなるため、本人の精神的な苦痛を緩和することが大事になります。この負担を減らすため、療養中の心理的・社会的援助をおこなってくれる「医療ソーシャルワーカー」などに関わってもらうことがあります。この社会的ケアには遺産相続や遺品整理のサポートも含まれます。また、ターミナル期になると、社会的な立場や役割に対する喪失感から、「自分などいてもいなくても同じだ」といったマイナス思考に陥る人も多いです。そのような状態にならないように、家族が話し相手となって本人の心情に寄り添うことが大事です。

ターミナルケアとなると終末期医療、緩和ケアとの違いを混同してしまうことがあります。表を見て違いをハッキリとさせることも大切です。

終末期医療

治療により病気の回復が困難で、延命治療を行わずその人らしい最期を迎える医療

ターミナルケア

本人が治療をやめる決断をし病気の症状などによる苦痛や不快感を緩和し、精神的な平穏や充実した生活を目指すケア

緩和ケア

がんなどの病気の痛みを取り除きながら、あくまでも病気を治療する行為の一環として病気治療と並行して行われる

<引用: 終末期の定義は3か月!看護師として重要なリビングウィルと必要な3つのケア


2 ターミナルケアを受けるのは病院?在宅?施設?

ターミナルケアを受ける場合「病院」「在宅」「施設」と大きく分けて3つあります。比べるポイントは様々ありますが、それぞれ一長一短あります。特に本人の自由度、家族の負担、費用でかなり異なります。

場所

特徴

本人の自由度

家族の負担

費用

病院

急変時医師や看護師がいつでも傍にいて対応

低い

かなり少ない

大きい

在宅

家族が常に傍にいて、本人の要望を叶えられやすい

高い

多い

少ない

施設

24時間看護師、介護士が傍で対応

普通

少ない

施設によって異なる

2-1 病院の場合は肉体的負担が少ない

病院の最大の特徴は医師や看護師が常に傍にいて、急変時でも早急に対応してくれるところです。家族にかかる肉体的な負担が最も少ないのが特徴になります。しかし、病院では面会時間が限られていたり、制約が多いため、患者さんの自由度が最も低くなります。家族が付き添うことが難しいケースも多いため、緊急時に家族がすぐに駆け付けられないことが多いので、家族への声掛けや急変時の対応確認は重要になります。

2-2 在宅の場合は患者さんの自由度が最も高い

在宅の最大の特徴は、住み慣れた自宅で過ごすため、患者さんの自由度が最も高いです。家族が常に傍に寄り添得られるのが最大の魅力です。しかし、家族が主体になって介護を行うため、吸引やおむつ交換などの身体的、精神的に負担がかかってしまいます。24時間いつ何が起こるかわからない、医師や看護師がいつかけつけられるかわからないといった不安が大きなものになります。近年在宅医療が普及しているため、負担は減りつつありますが、慣れないことが多いため、家族の負担は計り知れません。

2-3 施設の場合は24時間の介護体制

施設は病院と在宅の中間ではありますが、施設によって費用や体制が大きく異なるため、本人の希望に沿った施設選びが重要になります。ただ24時間の介護体制ではあるため、家族の負担は少ないです。希望で家族が付き添えたりしますが、在宅に比べると自由度は少なくなります。近年高額な施設もできていて、選択によってはその人らしい最期を迎えることが可能になってきています。


3 ターミナルケアにおける看護師の2つの役割

ターミナルケアにおいて看護師には主に2つ役割があります。それは「意思決定支援」と「疼痛コントロール」になります。患者さんの傍にいる存在だからこそ実践できることになります。その人らしい最期を迎えるサポートとしてこの2つの役割が、看護師にとって最重要になります。

3-1 【役割①】意思決定支援

ターミナルケアを行う上で大切なのは、患者さんの「こうありたい」という想いを表出させ、患者さん自身の意思で選択・決定できるようにすることです。看護師は患者さんの人生観や価値観などを十分に把握し、必要なケアが包括的に提供される環境を整えていく必要があります。患者さんの想いを受け、いつでも変更してもいいことを伝え、話しやすい環境作りが求められます。

3⁻2 【役割②】疼痛コントロール

ターミナルケアでは病状の変化で様々な痛みの訴えがあります。皮膚や骨などの体性組織の損傷で生じる「体性通」や内臓の損傷や組織の伸展などで生じる「内臓痛」、神経の損傷やダメージによる「神経性障害」などがあります。これらは麻薬や鎮痛薬でコントロールが重要になります。日々の患者さんの変化に合わせて医師と相談して薬の投与や、ケアの必要性を判断することが強く求められます。


4 看護計画の立案方法ステップ

ターミナルケアの看護計画として看護師として日々使用している看護計画例として下記を作成しました。病院や在宅、施設でも使用できるので参考にしてみて下さい。患者さんの状態に合わせて、追加、削除すれば効率的に立案できること間違いありません。

【観察項目】本人・家族の病状の受け止め方、告知の有無、精神的変化、態度、利用者および家族の医師の説明に対する理解、家族の協力状況、死生観、不安、恐怖感の有無、ボディイメージの受け止め状況、リビング・ウィルの有無、ストレス・コーピングの状況、呼吸状態、疼痛の有無、麻薬の使用の有無、食欲の有無、嘔気、嘔吐の有無、排便コントロール状況、皮膚状態、栄養状態

【実施項目】疼痛がある場合は内服コントロールできるよう医師に調整、食べやすい、飲みやすい物の選択、ストレス緩和ケア(足浴、手浴、マッサージ)タッチング、傾聴や肯定的な態度で接する。

【指導項目】疼痛や不安等がある場合は表出出来るよう支援する。


5 まとめ:ターミナルケアで重要なのは3つのケア

ターミナルケアとは「本人が治療をやめる決断をし病気の症状などによる苦痛や不快感を緩和し、精神的な平穏や充実した生活を目指すケア」が意味となります。特に重要なのが「身体的ケア」「精神的ケア」「社会的ケア」の3つで、その人らしい最期を迎えるために必要です。病院、在宅、施設でも一長一短がありますので、患者さんの希望に合った生活を叶えられるような支援が必要になります。本人の自由度、家族の負担、費用でかなり異なるため、話をしながら進めて頂くのが重要になります。

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