チーム医療の概要と看護師に求められるチームの要として抑えるべき4項目

看護師 チーム医療看護師 チーム医療

チーム医療の概要と看護師に求められるチームの要として抑えるべき4項目

チーム医療とは、1人の患者さんに対して、医師や看護師をはじめ、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、検査技師などの医療従事者が、互いの専門性を尊重し、ひとつのチームを結成して治療にあたることで、患者さんに対してもっとも良い治療を行う医療現場の取り組みになります。

例えば、チーム医療として特に馴染みのあるものとして、1990年後半から日本でも導入されるようになった栄養サポートチーム(NST)があります。栄養状態が悪いと治療しても回復しにくく、褥瘡や感染症、合併症などを起こしてしまうことから、患者さんの栄養状態を管理するために、管理栄養士、薬剤師、看護師、医師などがチームを組んで栄養支援を行うことをいいます。

NSTは一例ですが、現場、同じような形で患者さんに合わせたチーム医療の形が多くできています。

そのようなチーム医療における看護師は、患者さんやご家族が不満や悩みを打ち明けられる最も身近な存在であるため、患者さんの背景を理解し患者さんの身体的、精神的苦痛、社会的苦痛や、心理的な問題を捉える役割を担っています。

その上で、下記の4項目が求められています。

①チーム医療のキーパーソン

②医療スタッフの連携・補完の推進役

③看護サービスチームの質の確保・向上

④ケアの専門家(アドバイザー)

チーム医療は今後病院から地域、そして医療と介護になっていくこと、その上で看護師としてどのようなことが求められているかの従事者の方々の参考になれば幸いです。

採用情報

1 チーム医療とは一人の患者さんに対して複数のメディカルスタッフが連携して治療に当たること!

チーム医療とは、1人の患者さんに対して、医師や看護師をはじめ、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、検査技師などの医療従事者が、互いの専門性を尊重し、ひとつのチームを結成して治療にあたることで、患者さんに対してもっとも良い治療を行う医療現場の取り組みになります

チーム医療の形は様々あり、今後は病院から地域、そして医療と介護へと形を変えていきます。ただ現在は病院にあるチーム医療の形が主であり、その中で看護師の役割は異なっていますので2章以降で説明していきます。


2 看護師のチーム医療での役割は「チームの要」として患者さんの傍に寄り添うこと!

看護師の業務は、「保健師助産師看護師法」で規定されています。

看護師は、患者さんやご家族が不満や悩みを打ち明けられる最も身近な存在です。

チームの要として、患者さんの背景を理解し患者さんの身体的苦痛、精神的苦痛、社会的(経済的)、心理的な問題を捉える努力をします。  

また、医師からの説明に十分なご理解が得られているのかなど確認する必要があり、不十分な場合は、補足説明を行うこともあります。患者さんやご家族からのメッセージの本質をキャッチして、必要な専門職への橋渡しと調整役を担います。

2-1 看護師の役割は一番に幅広い視点!

看護師はあらゆる医療現場で、診療や治療に関連する業務から患者さんの療養生活の支援まで幅広い業務を担い得るため、「チーム医療のキーパーソン」として医療現場からの期待がもたれています。

また、看護教育の水準が全体的に高まるとともに、水準の高い看護ケアを提供しうる看護師(専門看護師・認定看護師等)の増加、一定の分野に関する専門的な能力を備えた看護師が急速に育成されています。そのため、チーム内での専門的知識や見解を求められることも多くなります。

2-2 チーム医療における看護師が抑えるべき4項目

患者さんの治療・療養生活を総合的に支援する存在として看護師は役割を求められています。特に下記の4項目がそれぞれのチーム医療において必要とされている内容になります。

  • チーム医療のキーパーソン
  • 医療スタッフの連携・補完の推進役
  • 看護サービスチームの質の確保・向上 
  •  ケアの専門家(アドバイザー)

2-3 看護師はより専門性が求められます!

看護師には[チーム医療の推進について(案)]にも記載がありますが、チーム医療においては専門性が強く求められます。

現在進んでいる「看護師における特定行為」に始まり、専門看護師や認定看護師なども活躍する場になります。それ以外にも栄養サポートチームでは栄養学の知識、摂食嚥下チームではリハビリテーション知識を要します。

患者さんへ寄り添う看護と共に、必要な知識を持つことが求められています。


3 日本におけるチーム医療の形は様々

日本では現在病院でのチーム医療が主になっています。栄養サポートチームをはじめ褥瘡管理チームや緩和ケアチームなど10チーム以上存在しています。その中で現在病院内において代表的なチームをいくつかご紹介します。

3-1 日本で一番初めに設立された栄養サポートチーム

<栄養サポートチームの目的>

適切な栄養管理を行い、全身状態の改善、合併症の予防

<対象>

食欲低下や、栄養状態の悪化、経管栄養を実施している患者さん

<看護師の役割>

栄養補助食品の選択や食事形態(普通食・きざみ食・とろみ食など)の検討、経腸栄養剤(腸から栄養を吸収させる方法)における選別を行います。味覚や嗜好、身体の状態に合わせて、最も適切な食事や栄養補給ができるような援助方法を考えることもあります。

患者さんや家族への説明、輸液や経管栄養の管理、口腔ケアなどを検討していくこともあります。

3-2 栄養サポートチームとの連携が大事な褥瘡管理チーム

<褥瘡管理チームの目的>

圧迫を受けた腰やお尻などにできた皮膚の褥瘡(じょくそう=床ずれ、皮膚の潰瘍)の管理

褥瘡は悪化すると治りにくいので、予防・早期発見に努め、適切な褥瘡管理によって改善・治癒を目指します。

<対象>

多くの方が当てはまりますが、寝たきり、車いすを常時使用、日常生活で活動量低下、栄養状態の悪い患者さんが主

<看護師の役割>

24時間ベッドサイドで全身状態の観察や評価を行います。オムツや寝具の選択、肌の乾燥を防ぐための保湿、皮膚への負担を軽減する身体の動かし方などについて、具体的なアドバイスをしながら、実際のケアを行います。

褥瘡がある場合は、これらの予防ケアに加えて、薬剤やドレッシング材などを用いて適切な処置やケアを行い、創傷の治癒を目指します。

また、身体の特定の部分に圧迫を受けないよう、患者さんの日常生活の活動レベルや生活方法に合わせて、ベットやマットなどの寝具の選定や見直しを検討します。褥瘡の治癒促進や予防をするため、車椅子や車椅子の座面のマットなどを本人に合わせて調整するなども行います。

3-3 QOLの質の向上を目指す緩和ケアチーム

<緩和ケアチームの目的>

治療ができない病気になることで、身体的、精神的、社会的に痛みや問題が生じます。患者さんやそのご家族がそれらの問題に対して、チームが介入することで人生や生活の質(QOL)を改善することを主とします。

<対象>

がん末期やALSを始めとした難病で余命わずかな患者さん

<看護師の役割>

病気とその治療方法、心身の状況、そして現在に至るまでの経過を理解した上で、患者さんの価値観を尊重しながら、どんなケアが必要か、ご本人やご家族と一緒に考えていきます。

また身体の痛みや呼吸困難などの苦痛症状を緩和したり、心理的・社会的なサポートをしたりすることで、日常生活の充実をはかり、その人らしい終末期を過ごせるよう援助します。栄養状態を把握し、問題があれば食事療法を中心とした栄養治療に関わったり、残された時間の中で充実した時間を過ごせるよう、満足いただける食事を提供することで、QOLの維持と向上を図ります。

3-4 食べることができるようにする摂食嚥下チーム

<摂食嚥下チームの目的>

栄養状態や食事の状態、口の中の衛生状態をチェックや評価し、多くの医療専門職との連携により治療や訓練をすることで、食べる機能の回復や肺炎を防止し、日常生活における活動性の向上を目指します。

<対象>

食物を咀嚼できない方や飲み込みが弱い方、食事の時にむせる方や熱があって、食欲のない患者さん

<看護師の役割>

体温・血圧などの管理、摂食のサポート、家族指導などを主に行います。また、摂食・嚥下リハビリテーションや口腔ケアの実施を行います。

3-5 病院によって異なるチーム医療の形

上記4つは多くの病院で採用しているチーム医療の代表的な形になります。その他にも様々なチームがありますがいくつか紹介します。

チームの名前目的
感染対策チーム院内感染予防と発生時の対応
呼吸ケアサポートチーム人工呼吸器装着患者さんへの疾患予防と緊急時の対応。
呼吸に問題のある患者さんに対しての早期改善
認知症ケアチーム認知症ならではの症状を抑えて、退院までのサポート
医療安全管理チーム安全対策の構築など、医療施設内の機器全般にわたっての安全な使用法などの指導
リハビリテーションチーム患者さんが抱える拘縮や機能不全に対して専門家の側面から指導やアドバイス
糖尿病チーム糖尿病の合併症と重症化の予防

現在は患者さんの個別性や治療方針、専門性に合わせて新しいチームが誕生しています。チーム医療として代表的なもの、そして時代にあわせてチームが増えていることをまずは知り、自身がどのようなチームで活躍したいかを考えることも重要になります。     


4 これからのチーム医療は病院から地域、そして医療と介護

近年の高齢化や生活習慣病の増加による疾病構造は変化しています。

病気になった時に地域のどこでどのような医療が受けられるのかといった不安や、退院後の在宅医療も含め、受けられる医療の流れはどうなっているのかといった医療機関相互の連携の姿は見えにくいという課題があります。

より効率的な医療提供体制を確立することで切れ目のない医療を提供し、在宅生活への早期復帰を促すことが法律で定められました。地域における限られた医療資源を有効かつ効率的に活用し、安心して医療を受けられるようにするためには、病院だけのチーム医療だけではなく、地域医療連携の充実が求められています。

例えば、脳卒中に関しては急性期の医療を担う大病院の役割、回復期のリハビリテーションや治療を担う医療機関の役割、維持期のリハビリテーションを担う医療機関の役割、生活の場における療養支援を担う診療所の役割といったように医療機関の連携が充実しています。

これらも大きな意味でのチーム医療と言えます。今後は、ますます医療と介護等の連続したチーム医療の提供にも取り組んでいくことが求められています。


5 さいごに

チーム医療とは医療従事者が、互いの専門性を尊重し、ひとつのチームを結成して治療にあたることで、最大限の能力を引き出し、患者さんに対してもっとも良い治療を行う医療現場の取り組みになります。形は違えど目的はいい医療の提供になります。

そして今後は病院から地域へ、医療と介護におけるチーム医療が求められます。その上で、看護師の役割は必要不可欠になります。チームの要として患者さんに寄り添い幅広い視点での対応が求められます。各分野での専門性も求められるため、自身がどのような専門性を極めたいか、中心にしたいかを考えることが大事になると言えます。

訪問看護をやってみたい。やりたい看護がある。そう思う人こそリカバリーに来てほしい。

「自分の大切な人を看るように、利用者様やご家族と関わる」

訪問看護ステーション リカバリーは、創業からこの思いを持ち、
利用者様やご家族にとって「もうひとりの温かい家族」のような存在として、
在宅での療養生活をお手伝いさせていただいています。

「あなたが来てくれると安心する」
「おうちで過ごせてよかった」

1人でも多くの利用者様の「家に帰りたい」という思いを叶えるため、
「もうひとりの温かい家族」という思いに共感してくれる看護師の方、
わたしたちと一緒に働きませんか?

コメント

リカバリーでは一緒に働く仲間募集しています
訪問看護をやってみたい方のエントリーはこちら→ - 訪問看護をやってみたい方のエントリーはこちら -