がん看護のスキルアップに役立つ資格4選~おすすめする理由から資格取得の流れまで~

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がん看護のスキルアップに役立つ資格4選~おすすめする理由から資格取得の流れまで~

日本人の死因の第一位は悪性新生物(がん)です。特に、40代~80代までの死因の1位となっています。(参照:厚生労働省 死因順位別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率・構成割合がんの患者さんは非常に多いです。そのため、皆さんが勤務している病院や病棟にも、がんの患者さんが多く入院されているでしょう。

がんを患っている患者さんとかかわる中で、「もっと良い看護ができるのではないか」、「今以上にがんを患っている患者さんの役に立ちたい」と考えることはありませんか?

今回は、がんの患者さんとかかわる機会の多い病棟で勤務している看護師の皆さんに、今以上に良い看護を提供するためにおすすめの資格を紹介します。

採用情報

1 高度化するがん看護を極める専門看護師

がんの患者さんに関係のある資格の中で、最も代表的ながん看護専門看護師の資格について紹介します。ご存知の方も多いと思いますが、資格の内容やおすすめの理由などを確認してみてください。

1-1 がん看護専門看護師とは

日本看護協会が認定している資格制度に「専門看護師」があります。学生時代に専門看護師について学ぶ機会がありますし、規模が大きな病院で勤務をしている方の場合、身近に専門看護師として活躍している看護師がいるでしょう。

専門看護師は、「複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護額の向上を図ること」を目的として作られた制度です。(引用:日本看護協会 専門看護師

2019年現在、13の専門分野があります。その中の一つである「がん看護専門看護師」について紹介します。

がん看護専門看護師は、がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者さんやそのご家族に対してQOLの視点に立った水準の高い看護を提供することを目的として、1996年より開始となった資格制度です。2019年9月現在、821名の方ががん看護専門看護師として活躍されています。

1-2 がん看護専門看護師はがん看護のスペシャリスト

がん看護専門看護師は、がんという疾患に対するスペシャリストです。専門的な知識をもって患者さんやご家族に適切な看護を提供することができます。そのため、患者さんやご家族からの信頼は高く、良き相談相手になることも可能です。

また、患者さんに対して医師や看護師、コメディカルなど多くのスタッフがチームとして関わります。その中で適切な情報交換を行い患者さんに適切な医療が提供できるよう、意見調整する役割も担います。さらに、他の看護師に対してがん看護に必要な知識やスキルを向上できるよう、勉強会の開催や指導を行うことも可能です。

他にも、がん看護に関するスペシャリストとして、所属している部署を超えて看護を実践することも可能です。例えば、所属している病棟だけでなく、他の病棟に入院しているがんの患者さんに対して、看護を提供したり悩みを共有したり、ケアの方法をその部署の看護師に伝えることができます。また、病院によっては、がん看護のスペシャリストとして「がん看護専門外来」を任されることもあるでしょう。

また、日本看護協会の認定する資格制度の一つのため、看護師だけでなく医師や他の医療スタッフからの信頼の高い資格といえます。そのため、責任のある仕事を任してもらうことができますし、部署を超えて看護を実践することもできます。そして、自分自身の大きなスキルアップ・キャリアアップにもつなげることが可能です。

1-3 がん看護専門看護師になるには

看護師として大きく成長できるがん専門看護師ですが、この資格を取得するためには様々な条件をクリアする必要があります。

まず、正看護師として実務経験を5年以上、そのうち3年以上は専門分野での実務経験を積まなければなりません。対象は正看護師ですので、准看護師の方は最初に正看護師の資格を取得してください。

実務経験をクリアした後は、看護系の大学院で修士課程を修了して必要な単位を取得する必要があります。看護系の大学院は全国各地にありますが、どの大学院でもいいわけではありません。各専門分野によって、その分野を学ぶことのできる大学院は異なります。がん看護専門看護師になるために必要な大学院は全国に71ありますので、どの学校へ進学するかしっかり検討しましょう。(参照:専門看護師教育課程一覧

必要な単位を取得した後は、毎年1度だけ行われる専門看護師認定審査を受け、合格する必要があります。一次審査は書類審査で、二次審査は筆記試験(論述式。事例問題100点満点、総合問題100点満点)です。合格後、認定料51,700円(消費税10%込み)を支払い、登録の手続きを行います。

専門看護師は、一度合格すれば継続して資格を保有できるものではありません。5年毎に更新審査をクリアする必要があります。5年間の間に規定された看護実績・研究業績などをしっかりと積み、専門看護師にふさわしいレベルを保持しなければなりません。

がん専門看護師を目指す方は、まずは実務経験をクリアできるようにしましょう。


2 リンパ浮腫に悩む患者さんをサポート~医療リンパドレナージセラピスト~

がん看護にきっても切り離せないリンパ浮腫。生涯にわたってこの症状と付き合っていかなければならないことが多く、リンパ浮腫に悩まされている患者さんは非常に多いです。

がんの患者さんが多く入院している病院で勤務をしている方は、リンパ浮腫に悩む患者さんをサポートできるよう、医療リンパドレナージセラピストの資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。この資格について、概要や資格の取得方法などを紹介します。参考にしてください。

2-1 医療リンパドレナージセラピストとは

医療リンパドレナージセラピストとは日本医療リンパドレナージ協会の認定する資格制度で、医師の診断および指示に基づき、患者さんやご家族への生活指導、リンパ浮腫保存的治療である「複合的理学療法」により治療を行う施術者のことです。(引用:日本医療リンパドレナージ協会 医療リンパドレナージセラピストとは)

リンパ浮腫に悩まされている多くの方が安心して施術を受けることができる治療環境作りを目指しており、患者さんやご家族の肉体的・精神的苦痛を和らげ、ADLやQOLの向上を支援することを目的として作られました。2002年に設立された比較的新しい資格制度ですが、2019年3月時点で2,300名以上の資格保有者が活躍されています。

仕事内容はリンパ浮腫の症状に悩む患者さんに対し、医師の指示や判断に基づいてスキンケア・医療リンパドレナージ・圧迫療法・運動療法などを、患者さんの症状や体調に合わせて実施します。また、病院内だけでなく家でもセルフケアができるよう、本人やご家族にも指導することも大切な役割です。

2-2 資格の取得方法

この資格を取得できるのは、医師・正看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師に限られています。そのため、准看護師の資格を持っている方でこの資格に興味のある方は、まずは正看護師の資格を取得しましょう。

資格を取得するためには、まずは講習会に参加する必要がります。初級講習と中級講習に分かれており、それぞれ理論と技術を学びます。カリキュラムは以下の通りです。
医療リンパドレナージセラピスト カリキュラム
※出典:日本医療リンパドレナージ協会講習会パンフレット

上記のカリキュラムを修了したのち、2日にわたって行われる修了試験(筆記試験(四択、症例)、実技試験(MLD、Bdg.)、口述試験を受け、合格することで資格を取得することができます。

合格率は90%以上あるため、そこまで難易度の高い試験というわけではありません。また、不合格の場合も2年間に限って修了試験を受けることができます。

2-3 資格取得に必要な費用

医療リンパドレナージセラピストになるためには、初級講習会から修了試験まで併せて550,000円(消費税10%込み)の費用が掛かります。決して安い金額ではないため、勤務している病院の資格取得補助制度があれば利用すると良いでしょう。

また、講習会を受けることができる会場は東京・京都・横須賀のみです。会場から遠い場合は旅費や交通費も発生します。さらに、朝から夕方まで講習会があるため、講習会に参加している間は仕事をすることができません。勤務先を休職扱い等になる場合は、一時的に収入が減ってしまうことも考慮しておきましょう。


3 がん看護のスキルアップにつながる他のおすすめの資格2選

がん専門看護師と医療リンパドレナージセラピストに関して詳しく紹介しましたが、他にもおすすめの資格があります。資格の概要を紹介しますので、スキルアップやキャリアアップの参考にしてください。

3-1 地域との連携を意識した認定がん医療ネットワークナビゲーター

日本のがん医療の発展・進歩の促進による福祉への貢献を目的として、日本癌治療学会が認定している制度です。(参照:認定がん医療ネットワークナビゲーター

地域におけるがん診療情報や医療サービスに関する情報を収集し、その情報をがん患者さんに提供します。また、地域のがん診療連携活動に参加するなど、役割は多岐にわたります。

この資格を取得するためには、まずはe-ラーニングにて必要な講義を受講し、小テストを受験して合格しなければなりません。合格後にホームページより申請書を入手して手続きを行いますが、この時にがん医療にかかわる地域医療ネットワークに参加している施設、もしくは組織に所属している必要があります。

薬剤師や看護師を中心に資格の取得者が増えてきており、一つ上のシニアナビゲーターに関しては2019年9月現在、全国で50名以上の資格保有者が活躍されています。

がんに関する情報を多くの患者さんに提供したいと考えている方は、この資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

3-2 弾性ストッキングコンダクター

静脈疾患やリンパ疾患の予防・治療に弾性ストッキングは欠かすことができません。弾性ストッキングコンダクターは弾性ストッキングの正しい使用方法を熟知し、患者さんの苦情や質問に答えられる医療従事者を養成することを目的として、日本静脈学会によって認定されている資格制度です。医師の指示のもと、ストッキングの種類・サイズの判断、着用時の指導・着用後の不満や問題点の相談などを担います。(参照:日本静脈学会 弾性ストッキングコンダクター 認定制度

資格を取得するためには、まずは「静脈疾患・リンパ疾患についての理解」、「圧迫療法の理論と実践」に関する講義・実技指導を受けます。その後、2年以内に30人に対し臨床指導を行うことで取得することが可能です。

この資格は5年間有効で、更新するためには資格終了後2年間に施行される認定講習会を再度受講するか、同期間中に30人に対する再度の臨床指導を行う必要があります。

リンパ疾患に関する知識だけでなく、弾性ストッキングに関する専門的な知識を習得したいと考えている方は、この資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。


4 まとめ:がん看護の資格を知ってスキルアップを目指そう!

いかがでしたか?がんの患者さんとかかわる機会の多い病棟で勤務している看護師の皆さんに、今以上に良い看護を提供するためにおすすめの資格を紹介しました。看護師としての知識やスキルだけでも、がんに罹患している患者さんに良い看護を提供することはできます。

しかし、専門的な知識やスキルを習得することで、患者さんにさらに良い看護を提供することができますし、安心感を与えることにもつながります。また、資格を活用した専門外来の開設や、部署を超えた看護を提供することも可能です。

今以上にがんに罹患している患者さんにより良い専門的な看護を提供したいと考えている方やスキルアップを考えている方は、紹介した資格の取得を検討してみましょうか。

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